イシマシモーと三本松[座安]

更新日:2023年02月01日

大きく曲がった木々の根っこ部分に、白い台座に説明が書かれた説明版が置かれている写真
  • 地域:座安(ざやす、方言名:ザー、ジャー)
  • 種類:拝所
  • 行事:
    • 旧暦5月15日 五月ウマチー
    • 旧暦6月15日 六月ウマチー
  • 状態:実物が現地にあります。見学できます。
    • 文化財標柱(2017年1月設置)
    • 文化財説明板(2017年3月設置)
3本の松の木が、畑の奥に並んで生えている白黒写真

かつての三本松とイシマシモー
西側から集落向けの写真。背後には若知花森(座波名森)。
1963年(昭和38)撮影

3本の松の木を背に、畑作業をしている人が映っている白黒写真

集落側から西に望む。手前人物の背丈よりイシマシモーが高くなっている。
1963年(昭和38)撮影

 豊見城市内には地域の名勝と呼ばれた風光明媚な場所がいくつもある。しかし、沖縄戦や戦後の開発という時代の流れで失われた風景も多い。その中のひとつに字座安のイシマシモーと三本松が挙げられる。

 ここは、イシマシモーやイシマシと呼ばれる座安の拝所である。集落の西、中前原の耕地の中に位置している。かつては琉球石灰岩の小高い岩場に三本の松が生えていた。拝所であるイシマシにはニライカナイの神を祀っているといわれ、遠くの拝所への遥拝(ウトゥーシ)にも使われる。戦前期は製糖期終了後のクスユックィー(腰休めの行事)が行われる場所のひとつであり、五月ウマチーと六月ウマチーで巡拝する拝所となっている。また、六月ウマチーには綱引きがあり、ここは、西の人々が綱打ちする場所であった。

 イシマシモーが拝所以外にも地域の人に親しまれたのには、そこに枝振りが見事な三本松があったからとも言えるであろう。座安の三本松は、平坦な志茂田平野の畑地帯の中で、数少ない小高い場所であったイシマシモーの上に立ち、推定10メートルほどの高さがあり、座安の名勝として周辺に知れ渡っていた。戦前、その付近には青年団の耕作地があり、休憩場所としても使われ、休憩時間には松の下で相撲を取るなど憩いの場でもあった。

 地域に親しまれた三本松とイシマシモーであるが、戦後の土地改良事業等、時代の流れの中で姿を変えていった。イシマシモーの岩石はほとんど取り除かれ、周りの畑と同程度の高さになり、松も1964年に2本が枯れてしまった。しかし、残された岩の傍らに小さな祠を設置したり樹木が植えられたりする等、現在でも信仰の対象・地域の憩い処として座安の人々に大切にされている場所である。

英訳文

 This is a sacred place of prayer in Zayasu, referred to as Ishimashimo or Ishimashi. It is located on the western side of the settlement, in the farming fields of Nakamebaru. At this location, there used to be three pine trees that grew on the hilly rocks of Ryukyu limestone. It is said that the Nirai Kanai god is enshrined at the sacred site of Ishimashi, and it is also used for Utushi, a ritual to offer prayers from afar. In the period before the war, it was also used to hold the Kusu-yukkui event, a ritual of rest after ending the season of sugar production in the area. It is one of the worshipping places for the pilgrimage rituals for the May Umachi and June Umachi. A tug-of-war is held for the June Umachi, and the people pulling the rope on the Iri (west) side gathered here for the rope-making.

 We can presume that the Ishimashimo was endeared by the locals not simply because it was a place of worship, but also because of the three pine trees that grew majestically at this location. The trees stood approximately ten meters tall on the Ishimashimo, which was one of the few hills in the plain farming fields of Shimota. This location in Zayasu came to be known for its scenic beauty.

 Even today, the site still holds importance to the people of Zayasu,offering a place for spiritual strength and comfort to the locals.

参考文献

  • 豊見城市教育委員会 2017『字座安のイシマシモーと三本松』文化財説明板
  • 豊見城村村史編纂委員会 1964『豊見城村史』豊見城村役所
  • 琉球新報社 1964「豊見城の名物松枯れる(3月6日金曜日 6面)」
  • 豊見城市市史編集委員会 民俗編専門部会 2008『豊見城村史 第二巻 民俗編』豊見城市役所
  • 座安自治会 1996『落成記念 座安地区集落多目的共同利用施設』座安公民館
字座安のイシマシモーと三本松の説明図

文化財説明板の文面

緑の木々が生い茂る中に、緑の柱と石の台座が置かれている写真

現在のイシマシモー(2017年撮影)

畑とビニールハウスを背にした場所に、白い台座が置かれている写真

説明版の隣にはイシマシモーの拝所がある。

地図

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作成日

平成29年3月31日

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