チーヤ(津屋) [豊見城]

更新日:2023年02月01日

遠くに大きな橋が見え、手前に掲示板と木の遊歩道と説明版が置かれている写真
  • 地域:豊見城(とみぐすく、方言名 ティミグスク・ドゥームラ)
  • 種類:拝所
  • 状態:現物があります。水鳥湿地センター木道より見学できます。
    • 文化財説明板(2014年1月設置)
大きなマンションや住宅に囲まれた湾の中に、木々に覆われた小さな島が浮かんでいる白黒写真

現在は周りが陸地化してしまっているが、もともと離れ小島である。

 チーヤ(津屋)は、豊見城グスクの北方、漫湖南西岸に浮かぶ琉球石灰岩でできた小島である。

 豊見城グスクを望むようにして湖面に浮かぶこのチーヤは、ハーリー(爬龍舟)発祥伝説とゆかりが深いことでも知られる。

 1745年に編集された琉球王国の歴史書『球陽』によれば、昔、豊見城グスクの城主・汪応祖(のちに南山王に即位【1404年】)が中国に留学したとき、川に龍舟を浮かべ競漕するのをみて感動し、帰国後、中国の様式に倣って龍舟を作り、漫湖に浮かべ遊覧したことがハーリーの起源だと伝えられている。

 旧5月4日に行われた那覇ハーリーもかつては競漕に先立ち、那覇、久米村、泊村の爬龍舟が、「トミグスクヌブイ(豊見城上ぃ)」と称してチーヤに直接漕ぎ着け、そこから豊見城グスク内にある豊見瀬御嶽に向け遥拝したという。現在もその行事を引き継いだハーリー御願が豊見瀬御嶽において行われている。

 チーヤは、このようにハーリーゆかりの地であるとともに、漫湖が水上交通の要衝として賑わっていた時代の舟着場でもあったともいわれている。また、毎年旧暦4月には、字豊見城の年中行事で、害虫駆除と作物の豊作を祈願するアブシバレー神事が行われるところとなっている。

 チーヤ周辺は、漫湖に生息する水性生物や渡り鳥の飛来地であるとともに、ヒルギ類のマングローブ林がみられるほか、沖縄が分布域の北限とされる「ナハキハギ(マメ科)」を観察することができ、県内でも数少ない自生地の一つとして知られている。

英訳文

 Chiiya is a small limestone island located to the north of Tomigusuku Gusuku, in the southwestern edge of Manko Lake. Situated in Manko Lake with a view of Tomigusuku Gusuku, Chiiya is known for its close ties to the origin of the haari dragon boat race.

 Kyuyo, a history book of the Kingdom of the Ryukyus compiled in 1745, tells the following story: Wan
Ouso, the Lord of Tomigusuku Gusuku castle, went to study in China and was deeply impressed by a river boat race using dragon boats. Upon his return to the Ryukyus, Wan Ouso had dragon boats built in the Chinese style and enjoyed excursions on Manko Lake, which became the origin of haari.

 In the olden days, the dragon boats of Naha, Kume and Tomari would first stop at Chiiya before the Naha Haari race, to offer prayers from a distance to the Tomise Utaki worship ground in Tomigusuku Gusuku. Still today, prayers for a safe haari race are offered at Tomise Utaki in accordance with this tradition.

 Chiiya reportedly served as an anchorage in the days when Manko flourished as the center for waterway traffic. Chiiya is also the site of Abushibare rites, an annual event of the Tomigusuku community held in April of the lunar calendar to eradicate pests and pray for rich harvest.

 The Chiiya area provides a landing zone for migrating birds and a habitat for aquatic creatures of Manko Lake. Rhizophoraceae and other mangrove species thrive on the island. Chiiya is also one of the few natural habitats in Okinawa for the Nahakihagi (Dendrolobium umbellatum), a plant of the Fabaceae family, for which Okinawa is known to be the northern limit of distribution.

参考文献

  • 豊見城市教育委員会 2014『チーヤ(津屋)』文化財説明板
  • 豊見城村村史編纂委員会 1964『豊見城村史』豊見城村役所
  • 豊見城村村史編纂室 1998『豊見城村史 第九巻 文献資料編』豊見城村役所
  • 豊見城村教育委員会 2002『豊見城村の文化財(増補)』豊見城村教育委員会
  • 字誌編集委員会 2013『豊見城の字誌』字豊見城自治会
チーヤ(津屋)の説明図

文化財説明板の文面

小さな箱の形をした拝所と、その周りに石が積まれて囲まれている写真

チーヤの拝所

赤い箱を持った人の隣で、葉っぱを持った人がしゃがんでいる写真

豊見城自治会のアブシバレーが行われる拝所でもある。

地図

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作成日

平成29年3月31日

関連情報

漫湖水鳥・湿地センターの敷地内に説明版はあります。

漫湖水鳥・湿地センター公式ホームページ

豊見城市商工観光課「豊見城空さんぽ 漫湖水鳥湿地センター」

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