シーサーと三月遊び(サングヮチャー)[根差部]

更新日:2023年02月01日

緑色の案内表示と白い説明版の横に、口を開けたシーサーの置物がある写真
  • 地域:根差部(ねさぶ)
  • 種類:シーサー
  • 行事:旧暦3月3日 三月遊び(サングヮチャー)
  • 状態:現物あります。見学できます。
    • 文化財標柱(2003年12月設置)
    • 文化財説明板(2016年2月設置)
全体がくずれかかり、小さな穴から植物の枝が生えている石像の写真

根差部のシーサー(2015年)

住宅に囲まれた湾の中に、木々がこんもりと生えた島が浮かんでいる写真

島であった頃のかつてのガーナ-森の姿
[写真提供:上原正徳氏・超ローカル「小禄 -OROKU- うるく」ガーナームイ]

ピンク色のお餅やお菓子などを供え、両手を合わせている人たちの写真

三月遊びでシーサーへの祈願(1991年4月)

木の枝が立てられているピンク色のお餅がたくさん盛られたお盆と、その横に色々な形をした食品が盛り合わせられている写真

サングヮチャーで使うシンムイ

笑顔の女性が、木の飾りなどが乗ったお盆を頭の上にのせている写真

シンムイを頭に載せて舞う三月遊び(1994年)

赤い飾りがついた木の枝と、ピンクのお餅が盛られたお盆を頭の上に乗せ、踊っている女性の写真

シンムイを頭に載せて舞う三月遊び

 集落に置かれるシーサー(石獅子)は、ムラの守り神として、外から入ってくる様々な邪気をはね返すために据えられ、その災厄をもたらすとされる対象【丘陵や森、ガマ(洞窟)など】に向け立てられていることが多い。根差部集落内にあるこのシーサーは、かつて漫湖に浮かんでいたガーナー森に向けて立てられたのだという。

 昔、ガーナー森は大きな魔物で、真嘉部(真玉橋・嘉数・根差部)の人々を食べようと夜な夜な襲ってきた。村人が困っていたところ、天から3つの大きな石が降ってきて、魔物の尻尾を押え付けたため、魔物はそのまま動けなくなり湖面に浮かぶ小島・ガーナー森になったという。村人たちは神の加護に感謝し、ふたたびガーナー森が集落に襲いかかってこないよう、シーサーを置いたと伝えられている。ガーナー森はすっかり陸地になってしまったが、シーサーは今でも北西の方角の魔除けとして集落を守っている。

 現在、シーサーはガーナー森への魔除けとしてだけではなく、信仰の対象として拝まれている。それは、女性たちによる拝みと祝宴の行事「三月遊び(サングヮチアシビ)」である。海に面していない根差部の三月遊びは、〈ノロ殿内〉等の大きな家々に女性達が集まり、日々の労働から離れ、余暇を楽しむ行事である。大正の初期までは旧暦3月3日~3月5日までの三日間盛大に行われた。現在でも3月の吉日を選んで行われている。この行事では「シンムイ」という特徴的な供物が作られる。「シンムイ」は丸盆に饅頭を敷き詰め、その中に赤色に染めたねじりコンニャク15個を結んだツゲ(チギ)の枝をさした供物で、まず始めにシーサーにお供えし参加する女性達全員で祈願をする。その後、公民館前にて円陣を組んだ中、交代でシンムイを頭にのせて三月遊びの歌や舞いが賑やかに繰り広げられる。

 字根差部のシーサーは、ガーナー森のある北西をにらみつつ、地域を見守る集落の守り神として、字根差部の方々に大切にされている。

英訳文

 The Shisa (lion dog statute) of Nesabu is said to have been erected facing the Ganamui, a small island that was once afloat in Manko Lake. According to legend, Ganamui was a giant demon that frequently invaded the three Makabu communities (Madanbashi, Kakazu and Nesabu) to eat the residents. In salvation of the troubled villagers, three large rocks came falling from the sky and trapped the tail of the demon. Unable to move, the demon became Ganamui, a small island in the lake. The villagers were thankful for the divine protection and erected a Shisa so that the Ganamui would never attack the village again. Today, the Ganamui has become connected with land but the Shisa continues to protect the community, warding off evils from the northwest.
 The Shisa is an object of worship in the Sangwachi Ashibii prayer and celebration, a traditional annual event for females to gather in the key households, relieve themselves from their daily labor and enjoy leisurely time. An offering of Shinmui is prepared by covering a round tray with Manju sweet buns and placing a branch of Boxwood decorated with 15 tied pieces of red-dyed Konnyaku (arum root starch jelly).The ritual starts by offering the Shinmui to the Shisa, followed by prayers by all the females in attendance. The females then form a circle in front of the community center and enjoy the cheerful songs and dances of the Sangwachi Ashibii, taking turns placing the Shinmui on their heads.
 The Shisa of the Nesabu community maintains watch towards the northwest, in the direction of the Ganamui, and is revered by the people of Nesabu as the guardian deity of the community.

参考文献

  • 豊見城市教育委員会 2016『字根差部のシーサーと三月遊び(サングヮチャー)』文化財説明板
  • 豊見城市教育委員会 2008『豊見城市史 第二巻 民俗編』829ページ、832ページ
  • 豊見城村教育委員会 2002『豊見城村の文化財』33ページ
字根差部のシーサーと三月遊びの説明図

文化財説明板の文面

地図

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作成日

平成28年2月22日

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